君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

19.アイツのLIVE ~高校時代そして現代~ -晃穂-


*

晃穂へ


今日はビッグニュース。
俺、今度……智先輩のLiveに出演決まったよ。

ボーカルは尊夜。
俺たちの弟だぜ。


この間、初めてアイツの歌聞いたんだけど
すっげぇ上手いの。


神様、アイツにいろんなもの与えすぎな気がするよ。


んじゃ、日にち決まった電話するから絶対見に来てくれよな。



紀天


*





二学期になって暫くしてから、
突然届いたアイツからのメール。



ドラムを始めたアイツが、
とうとうLIVEをするらしく、
興奮のままに送りつけてきた報告メール。




そんなメールを何度も読み返しながら、
不思議な感覚が包み込む。



翌朝になっても、嘘ではないことを確かめるように
宝珠様との通学中の車内で携帯を見つめた。




大丈夫、夢じゃない。
アイツ……LIVEに出るんだ。




「あらっ、晃穂どうしたの?
 嬉しそうでしてよ。

 晃穂を笑顔にするのは、紀天かしら?」


そう言って宝珠様は、私を見て柔らかに微笑んだ。



「昨日、紀天がメールしてきたんです。
 今度、LIVEすることが決まったって」

「そうみたいね。
 高臣様から私も伺っているわ。

 紀天、昂燿行ってからドラムの練習を物凄く頑張っているみたいね。
 智も紀天と練習してると楽しいって言っていたわ。

 怜も気にかけてくれているみたいだから、
 貴方も精一杯、応援してあげなさいな」





宝珠様の言葉に、私はゆっくりと頷いた。


< 111 / 245 >

この作品をシェア

pagetop