君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】

5.不協和音 ~Rapunzel~ -紀天-



Rapunzelに加入して二年目の年。

尊夜が高校二年生になった頃から、
加入当時から、心の中に秘め続けていた歪が
大きく浮き彫りになるよわうになっていた。


ファンのマナーが悪くて、出入り禁止になったLIVEハウスが数か所。


LIVEをやりたくても、思い通りに会場がかりられない
八代のストレスが、メンバーにあたりはじめるようになる。



当初は、八代と友樹にばかりスポットが当たっていたRapunzelだが、
半年を過ぎたころから尊夜のファン層も増え始めた。



それがまた八代には面白くなかったらしく曲を作っては、
アイツに作詞は一度は任せるもののアイツが仕上げた歌詞を全てボツにして、
元から作られていたらしい八代の歌詞を歌わせ続けた。



俺のドラムにしても、EIJIさんや、智早さんみたいな重たい音色のドラムに、
チューニングしたい俺の想いとは裏腹に軽いカツンカツンとただ鳴るだけの、
そんなドラムを要求され続ける。




Rapunzelの内部に広がっていく、
不協和音が確実に、バンド内に広がっていた。




今日も、Rapunzelの憲として綴っている
BLOGを開くと、俺のファンだと言ってくれる子たちからの
メッセージが次から次へと表示される。



そんなメッセージを確認しながら、
出せる返事は、返信していく。


昂燿寮の自室で、そんな作業を続けながら
俺はPCを見つめ続ける。



俺の隣、尊夜は最近始めた真っ白いギターを抱えながら
何か作業をしているみたいだった。

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