君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



最初に姿を見せたのは、ドラムのEIJIさん。

一回り、大きく感じるEIJIさんは
力強くスティックを天に突き上げて、お辞儀をすると自分のドラムセットへと向かう。


隣の紀天は、凄く楽しそうで
高校生の少年みたいな目をして、食い入るように見つめていた。


次に姿を見せたのは、ベースの羚。
昔以上に中性的な装いで、片目を隠したまま姿を見せる。


その後に続くのは、ボーカルの琢也。



それぞれのメンバーが出てきた後も、
リーダーである怜さんは今も姿を見せなくて。




「おいっ、皆。久しぶりだなー。
 それじゃ、俺たちのリーダーを呼ぼうか?

 準備はいいか?
 準備はいいか?おいっ?」



そんな煽りにも似た琢也さんの言葉の後、
観客たちが一斉に、怜さんの名前を叫んだ。


そんな空気に負けじと、私も全身で怜さんの名前を叫ぶ。


「怜さん」


ファンたちが叫んだあと、最後にマイクを持って呼びかける羚。
羚が迎えに行った後、車椅子を押されて姿を見せた怜の姿が視界に入る。


怜さんを乗せた車椅子がステージ中央で止められると、
メンバーがそれぞれにサポートして、怜さんはゆっくりと車椅子から立ち上がると
相棒のギターを琢也さんから受け取って、元気よくステージを駆けだした。

何時しか怜さんが座っていた車椅子は、ステージから撤収されて
何曲も何曲も、連続してSHADEの懐かしいナンバーを演奏していく。


舞台を走り回りながら、時に羚とじゃれるようなパフォーマンスを魅せながら
ファンである私たちを煽りつづけて、はけていく。


会場内から物凄いアンコールを集中して、
再び姿を見せた時には、メンバーは衣装替えをして姿を見せた。

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