君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】


「晃穂、TV消すか?」



アイツを見ているのが辛くて、それだけを伝えるものの「ううん。見るから」っと
アイツは小さく弱々しい声で告げる。


消すことも出来ず、俺はアイツを自分の肩の方に抱き寄せながら
TVを見つめ続ける。



TVから流れ続けるのは名曲「夢追い人」。

SHADEの解散と、怜さんの病気の始まり。

この夢追い人は怜さんが体調不良を覚え始めた頃に
作られた曲らしかった。


最初はただ、疲れやすかっただけの怜さんは
『疲労』だと甘く見て、SHADEの活動に没頭し続けた。

その後、肝機能低下と脾臓がはれはじめて白血病に近い症状が現れた。

当初は「白血病」とも疑われたけど、
更に検査を進めて、遺伝子に問題がある難病だと告知された。


ライソゾーム病の中のゴーシェ病と言われる病気。


酵素補充療法で、足りない酵素を定期的に
点滴投与による補充をしながらSHADEとしての活動もしていたけれど、
それにも症状が進行するにあたって限界が見え、
治療に専念する形になったらしい。


貧血、出血、血が止まりにくい、骨の痛み、腹部膨張、
口が開けられないなど、様々な症状が出ていたのだと言う。


酵素補充療法で、良好に見えた症状もやがて悪化を辿り、
最後の望みをかけて、骨髄移植に踏み切った。

高熱に魘される夜が何度も続いて、
拒絶反応に苦しむ時間を超えて迎えた。



怜さん自身の望みを叶えるために。
そんな怜さんの最期の願いが、昨日のあのLIVEだった。




ワイドショーが終わって、TVを消した後も
アイツは、ずっとSHADEのアルバムを流し続け今だ、泣けぬまま
ボーっと過ごし続けた。


昼が過ぎた頃、再び俺の電話が着信を告げた。



智早さんからの連絡で、お通夜と告別式の日を聞いた。


お通夜は明日の18時。
告別式が明後日の9時。


関係者のみでとり行われるその場に、俺と晃穂も参加できる形になった。


今は自宅に戻っているらしい怜さんは、明日の朝から場所を移して
最後の時間に望む。


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