君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】



「紀天さん、もう少し火葬には時間がかかるみたいです。
 怜さんの日記が出て来たんですよ。

 昨日、見つけて思わず一晩読み続けてしまいました」




ソファーに座って待っている俺と晃穂の傍に、
近づいてきたのは、SHADEでベースをしている羚。


怜さんの弟分として有名な存在で、
怜さんを通して俺も何度か交流したことがあったが、
仕事以外で話すのは初めてだった。


羚から手渡された日記をゆっくりと開く。



俺の膝では、ようやく涙を流すことが出来た晃穂が
疲れ果てて眠ってしまっていた。

そんな晃穂を床に落とさないように気遣いながら、
ゆっくりと日記をめくっていく。


パラパラとめくっては、気になった頁をじっくりと読みふける。





いよいよ半年後にLIVEを決めた。
チケットの販売も始めた。

当日、車椅子から立ち上がれないかも知れない。

演奏もまともに出来ないかも知れない。


俺が生きているかどうかすらわからない。


それでも生きている限り、この体がある限り
ステージに立ちたい。

ステージに立って見せる。


俺は夢追い人。



だから走り続ける





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