君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】




「晃穂、朝食で来たぞー」



いつものようにキッチンでフライパンを操って、朝ご飯を作ってくれた紀天が
目覚めて自分の部屋からリビングに顔を出した私に声をかける。




「有難う。
 紀天、今日の予定は?」


「今日か……。
 午前中は瑠璃垣の会議だな。
 尊夜のお供で、堅苦しい会議室の住人。

 んでその後は、病院かなー。
 ちょっくら隆雪のところに顔出してくる。

 後は……怜さんのとこ。
 月命日だからな」



紀天はそう言うと、珈琲を一口飲んで
窓から遠い空を覗いた。



「そっか……。
 最近、Ansyalは?」

「年内は地下作業だな。
 雪貴もまだ学校だしな。

 俺らの都合で、Ansyalに巻き込み続けてもマズいだろ。
 祈も今は忙しそうだしな」

「そっか……。そうだね。
 アンタも……ちゃんと休みなさいよ。
 体壊したら、もともこもないんだから」



ぶっきらぼうにそれだけを告げると、私はアイツが作った朝食を食べる。


食べた後は、いつもの様にPCを開いて
Ansyal絡みのネット情報を検索して、マズそうな話題のものは
宝珠さまへと連絡を入れる。



いつもの毎日の繰り返し。



だけど……そこに今は怜さんの存在だけがぽっかり居なくなったみたいに
消えていた。




「んじゃ、晃穂。
 俺、仕事行くわ」

「いってらっしゃい」

「うん。晩御飯、すき焼きでも準備して待ってるから」

「サンキュー。
 尊夜も連れて来れそうなら連れてくる」

「じゃあ、三人分用意しておくよ」



そんな会話をしてアイツを家から送りだす。




これ以上踏み込んでしまったら、こんな私にとっての
当たり前の生活が消えてしまいそうで、崩れてしまいそうで踏み出せない。


< 206 / 245 >

この作品をシェア

pagetop