君を守る陰になりたい【Ansyalシリーズ 憲編】


確かにあのバカなら、
想像通りの事やってそうかもなんて思わず思い浮かべて笑みがこぼれる。



「ごきげんよう、
 デューティー晃穂」



そうやって声をかけくるのは、
私のジュニア、凌雅の妹。

宝生優愛【ほうしょう ゆあ】ちゃん。



「ごきげんよう、優愛」

「晃穂先輩が自宅通学になられて、
 お紅茶を朝、淹れることもなくなってなんだか寂しいです。

 でも毎朝、学院の門まではご挨拶に参ります。
 本日は高等部ご入学おめでとうございます」


優愛はそう言うと、可愛らしくお辞儀をした。



「優愛、有難う。
 気を付けて、中等部校舎に行くのよ」

「はいっ。
 それでは、失礼します」


慌ただしく他の友達と学院門の前を後にする。


「さっ、なら私たちも行きますか……」


智海の号令で、高等部の校舎まで、
モノレールで移動する。


モノレールの中から、この三月まで通っていた中等部校舎を通り過ぎて、
今日からの新たな校舎を視界に止める。



高等部の校舎前の駅に降り立つと、
すでに新入生歓迎のムードで盛り上がる。




ここでも悧羅校は男子校舎と女子校舎にわかれた建物。



校門の前に立つ、それぞれの生徒総会・生徒会の先輩たちに
迎えられるままに校舎の中へと入っていく。



凌雅は男子校舎へ。



本当なら、私も……智海みたいに、
ここまでアイツと来てたはずなのに。




「ごきげんよう。
 晃穂」




声をかけたのは、ずっと私がお世話になっている
私のデューティー。


華京院宝珠【かきょういん ほうじゅ】様。


宝珠さまの隣には、宝珠さまのシークレットサービスの
元 暁鈴【ユァン シャオリン】が付き従う。



「ごきげんよう、宝珠さま」



慌ててデューティーの前で、
丁寧にお辞儀をした。

その隣、智海も静かにお辞儀をする。



「智海、貴女のデューティーがあちらに」



宝珠さんがそう言うと、
智海は慌てて自分のデューティの元へとかけていった。
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