さよならの魔法
『予期せぬ知らせ』
side・ユウキ







卒業式が終わって、数日後。

待ちに待った、合格発表の日。


生まれて初めてのその日に、俺はめちゃくちゃ早起きをして、受験した高校へと乗り込んだ。




「おー、紺野!早いなー、お前。」


おー、じゃない。

早いなって、お前の方がずっと早いじゃないか。


上には上がいるもので、俺よりも先に到着している人間が1人。



うちの学校から、この高校を受験した男。

腐れ縁としか、もう表現出来ない男。


その男の名前は、矢田 大地。

俺の悪友が、朝早くから堂々と校門の前に陣取っていた。



「なーんで、お前が先に来てるんだよ!」


つーか、来るの、早過ぎだろ。

いつもは遅刻ギリギリに登校してくるクセに、こういう時に限って早く来やがる。


数日前と同じ学ラン姿の矢田と一緒に、合格者の番号が貼り出された掲示板を見に行った。



受験番号、214番。

呪文を唱えるみたいに、その番号を口にする。


出来る限りのことはやった。

直前まで勉強もしたし、終わってからは見直しも何度となく繰り返してやったのだ。


それでも自信が持てず、祈る様にして自分の番号を目で探す。



運がいいのか。

実力なのか。


その番号は、しっかりと合格者の欄に記されていた。



「うわ………、ほんとに………?」


信じられない。

夢みたいだ。



「やったーーー!」


嬉しさが隠せずに、1人でガッツポーズをする俺。

案の定、周りの人からは白い目で見られているのだが。


そんなことを気にする余裕がないほど、目の前の出来事が信じられないくらいに嬉しいのだ。



ヤマ、当たったのかな?

自己採点をした時には、合格ラインに届くか不安だったのに。


奇跡だ。

運が良かっただけなのかもしれないけど、奇跡みたいだ。


俺の横では、矢田がまだ自分の番号を探してる。



「えーと、………うーん、あ!あった!!」



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