~宿命~
俺の作戦は単純なものだった。
まず、ヒビの入っている部分の足場を砕き、坂のギリギリで止まった石を転がしてすぐに屋根へと帰って様子をみる。
この時は失敗など考えもしなかった。


作戦を実行する為、ヒビの大きさと深さを確認する。
所々欠けており、始めに覗いた部屋の上だった。
明隆:「よし!行くぞ!」
勇気を振り絞り、しゃがんで片方の踵を思いっきりヒビに打ち付けた。
次の瞬間、《ドカン!》ヒビの入っていた足場は崩れ落ち、砕けたコンクリートと一緒に俺も落とされた。
そう。穴があいた事によって体重が支えられなくなり、俺の足元のコンクリートも崩れたのだ。

音を聞きつけ奴等が中に入ってきた。
明隆:「ゲホッ。ゲホッ…」
背中を強く打ち、呼吸困難に陥っていた。
???:「おい!居たぞ!」
???:「ギャッハッハッハッ!上から落ちたんだろ!」
???:「コイツも縛っちまおうぜ!」
二人に腕を取られ、安居がいる部屋に連れて行かれた。
絶体絶命の窮地(きゅうち)に追い込まれた。…いや、飛び込んだとしか思えない。
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