キャンディ☆キス

知られるのもシャクだけど、勘違いされるのも困る複雑な気持ち。

だって私には、まだそんなこと言える勇気もないし……。



掴んでしまったシャツをパッと手放すと、一樹はいきなりこちらを振り返った。



「ってことは
もしかしてオレのこと好きとか!」


「ええっ!!」



それこそキスをされてしまいそうな近距離でのすごい発言。



ドッキーーーン!

待てーっ!それってさっきよりもっと答えにくいじゃん!



両手で頬は隠したけど、私にはもう顔色を変えない余裕なんてなくて。



「亜希、お前顔赤いぞ。…図星!?」



さらに追い打ちをかけるように、一樹がバカみたいにからかうから

焦って言い訳のしようがなくなった私は、つい……



「ば、バカじゃないの!?
一樹のことなんて男だって意識してないって言ったじゃん。お子さまみたいに甘ったるいキスで女の子集めてさ……
やっぱりバカズキなのは昔から変わってないよねっ」



プイッと顔を横に向けながら
ヤキモチを含んだようなすごくイヤミな言葉を、強気で一樹に返してしまったのだ。





< 10 / 25 >

この作品をシェア

pagetop