ひまわりの涙
ー7ー
一人は鯉淵さん…

私が幼い頃からここで執事として働いている。

とても厳しい人だけど、それと同時に優しさもくれた人。

怒られて泣いていると黙って抱きしめてくれ、痣だらけの腕に薬を塗ってくれてた。その手がとても暖かかったのを覚えている。

たった二年なのに、何十年も会ってない気分だった。

リムジンが入り口の前に止まると、鯉淵さんが駆け寄ってきてドアを開けてくれる。

「鞠乃お嬢様…」

懐かしい声…

少ししゃがれてて、それでいて暖かみのある声。

「鯉淵さん…」

車から降りると懐かしむように、優しい目で見つめてくる。

「お帰りなさいませ、鞠乃お嬢様」

しわくちゃな顔をマスマス歪め

「よくお頑張りになられました」

そう言うと目頭を押さえ後ろを向いてしまった。

私は面食らったもののそんな後ろ姿を見ていると家を出たことへの罪悪感に苛まされた。

そこへ私の頭に手を置いてきた人物。

顔を上げると司が笑っていた。

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