初恋
その夜、私は東吾に返事を書いた。

『東吾、久しぶりだね。元気にしてた?
私はね、高校に入ってテニス部のマネージャーになったよ。
毎日毎日、炎天下の中にいるもんだからすっかり日に焼けて真っ黒だよ(T_T)
中学の頃の美少女沙羅はどこへ行った~?って感じだよ(笑)

東吾も毎日テニスで真っ黒なんじゃない?
ロサンゼルスって日本より暑いの?寒いの?
まぁ、夏なんだからどこでも暑いよね。
でも、暑いからって練習さぼってんじゃないよ!
私だって頑張ってマネージャーやってんだからね!
東吾がさっさとプロになってテレビで東吾のプレー見れるの楽しみにしてんだから。
その時は、私の厳しい目で東吾のプレーをじっくり観察してダメだししてあげるからさ!(笑)

それじゃあ、お互いテニスに(私は勉強もだけど)燃えようぜ!


                     黒こげ沙羅より

                                                                                』



結局私は『会いたい』も『淋しい』も言わなかった。
ただ、東吾がこの手紙を読んで少しでも笑顔になって欲しい。
そう願って書いた。

(頑張れ!東吾)

私は祈りを込めてエアメールをポストに落とした。
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