願いは白い翼に託して

行く宛

 今日も仕事を終えて行く宛もなく空を彷徨う。翼は、やっと軽くなってきたようだ。

 気の遠くなるような長い年月をかけて、僕がしてきたことはいつも同じ。最初は人間を幸せにできることに喜びを感じていたけれど、喜びはいつしか薄れてしまって、今ではもうなにも感じない。

 でも、天使はそれでもいいんじゃないかと思う。いちいち感情を持っていたら、きっと狂ってしまう。
 
 僕は、どこに辿り着くんだろう。長い長い時間の最後に、僕はどこへ帰ればいいんだろう。
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