ヴァイス君の日常
顎が外れた日


「フフンフン~フン♪」


今日は珍しく早く終わった仕事にルンルン気分で鼻歌を歌ってスキップしていた俺。

天気も良いし誰も居ないのをいい事に城の裏に回って秘密の場所へと足を進めた。

殆ど人が来ない此処は俺にとっては天国!

手には料理長が作った新作のケーキと紅茶が入ったバスケット。

案の定、誰も居らず早速バスケットからケーキと紅茶を取り出して準備OK!!

濡れたフキンで手を拭いて、いざ口に入れようとした時だった。


「此処の花をお前に見せたかったんだ」


何処からか王子の声が聞こえた。

キョロキョロと辺りを見回すが姿は見えない。


---空耳か?


気を取り直して、もう一度ケーキを口に入れようとしたら


「わぁ、珍しい花が沢山咲いてるね!」


楽しそうな姫さんの声まで聞こえた。

これは空耳じゃねぇ・・・

今、姫さんの声がすぐ近くで聞こえた。

って事は、王子達は植え込み挟んだ反対側に居るのか。

王子達が此処に居るんじゃ場所を変えて食うか・・・?

そんな事を考えていたら植え込みの向こうから聞こえた声に固まった。

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