イケメン女子の学園生活 〜番外編〜


オレの手を引き、走る翔は真面目な顔で走っていた。


さっきと立場が逆転だ。




『翔、大丈夫だよ』


路地裏を抜けてもなおオレの手を掴んだままの翔に声をかけた。



「…ああ」

『それに、翔が手を出すほどでもなかったのに』



ヤクザに下手に手を出すと面倒くさいだろう。

それなのに翔はオレを庇ってくれた。



「…朔月が大丈夫なのは分かってる。俺が…守りたかったんだ」



そう言って顔を綻ばした翔はギュッとオレの手を握った。

目が合うと優しく笑う翔にオレも肩の力が抜けた。




『ありがと、翔』

「あぁ。いつでも守ってやる」


そんな柔じゃないけどなー、
そう言って歩き出せば確かに、と翔は笑った。






滋君にどんなサプライズでプレゼントを渡そうか話ながら帰る道。

今だ繋がれたままの手を見て、オレは一言。


『なんかデートみたい』

「…っ!?//////」



途端に顔を真っ赤にして目を剃らした翔。
しかし手はしっかり繋がれていて、オレは何だか可笑しくて、笑った。


照れたように翔も笑ってから


「また、デートしよ…//」

と、小さい声で呟いた。










後に聞いた話では、滋君の誕生日は大成功だったとか。




〜悩める狼 end〜


< 116 / 149 >

この作品をシェア

pagetop