小さな初恋

憂鬱

「皮肉なもんだよな…?」



昨日の雨が嘘のように、


朝から気持ち良いくらいの快晴だった。



起きた時にはもう、

外の水溜まりは渇いてきて、


光を反射して輝いていた。



「なにが?」

前に座る初真が、

俺の独り言のような言葉を聞いて、


後ろを向いた。






* * * * *


「…葵?」

名前を呼ぶと、葵は笑顔を見せた。


今…

俺はキスをしたんだよな?



自分からしたのに、

再確認してしまうほど…


葵の態度は変わらなかった。





「帰ろっか?」

さっきまでのシリアスな雰囲気とは打って変わって…



「お腹空いた~」

なんて能天気なことを話す葵…





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