悪魔的に双子。
分からないふり

居候、または新入り

新田にお話を聞いた次の日のこと。


気まずいお昼タイムとしんどい午後の授業を乗り越えて、放課後は凛太朗先輩に癒しをいただき、有志との待ち合わせの場所に行くと、何故か有志と一緒に真昼と唯流がいた。


「……何でいるの」


真昼の顔に皮肉っぽい色が浮かぶ。


「いちゃ悪いですか。すみませんねぇ、お兄さんとのかけがえのない時間のお邪魔をして。」


唯流もさくらんぼ色の唇をとがらせて、


「唯流も今日から有志と一緒に帰るの!青だけずるいから」


ふわふわの髪が生ぬるい風に揺れる。


さながら拗ねたお人形さんだ。


「わたしは別にいいけど」


「唯流は今日だけだよ」


全く別のことを言う二人の口の動きが重なる。


わたしと有志は思わず顔を見合わせた。


「えーっ!なんでダメなの?」


唯流は色素の薄い瞳を見開いて有志を見上げた。


「だって、危ないでしょ。唯流一人でこんなとこで待つの。今日はどこにいたのか知らないけど。」


有志が少し困った顔で言った。


「大丈夫だもん、時間ギリギリまで校舎の中いるし……そうだ、これからは青と一緒にいる」


「…はい?」


唯流さまの突然の決断にわたしは思わず聞き返した。


「青、先輩に勉強教えてもらってるんでしょ?唯流が一人増えたところで、別に困ることはないでしょ」


唯流がごもっともなことを言って、まっすぐにわたしを見る。


「……それいいじゃないか」


どう言い訳しようかと口をパクパクさせていると、真昼が横から余計なことを言った。


きっと睨むと、ほくそ笑む真昼の、唯流そっくりだけどさらに腹の立つ顔があった。


「……構わないよね、青。その『先輩』とやらにお願いして、ね?」


いかにも妹想いのお兄さんの顔をして、首をコテっと横に倒してお願いをしてくる。


目の中に何やら計算高い色が浮かんでいて、わたしは少し怖くなり、救いを求めるように有志の方を見た。


有志の顔に疲れが浮かぶ。


「……唯流、分かった。一緒に帰るのはいいよ」


どうやっても唯流は折れないと踏んだのか、有志はそう言って微笑んだ。


唯流の顔にぱっと明るい笑顔が浮かぶ。


「……でも、青じゃなくて、僕たちと一緒にいよう」


「……ほえ?」


唯流が首を傾げる。


「いつもはあんまり長居してる女子とかがいたら顧問の先生怒るんだけどさ、事情説明して、唯流がずっとバスケ部の練習見てても怒んないで下さいってお願いしてみる。」


「……うん!」


唯流が力いっぱいうなづく。


わたしはほっと息をついた。


よかった、有志、わたしが好きな先輩と放課後一緒にいること覚えててくれた。



< 116 / 272 >

この作品をシェア

pagetop