悪魔的に双子。
百合人くんはゆっくり目をパチクリさせると、


「百合人」


と恐ろしく簡潔に答えた。


「百合人……さん?」


凛太朗先輩が珍しくもおずおずとして繰り返す。


「高校生……ですよね、なんか大人っぽいし」


「ふんっ、リンタロが子どもなだけだろ」


自分こそガキ化している真昼がすかさず憎まれ口をたたいた。


『子ども』という単語は凛太朗先輩には禁句らしく、頬が真っ赤に染まる。


「な、せ、先輩に対してなんだよ、その物言いっ」


「は?先輩?てっきり一年生だと思ってたよ、来年入ってくる」


真昼があきれたようにくるりと目を回した。


……なぜそんなにつっかかる。


初めて凛太朗先輩をバスケットコートで見た時から、真昼は敵意むき出しだ。


ある意味清々しいほど子どもになる。


わたしは顔を真っ赤にして睨み合う二人を見て途方に暮れた。


……それにしても気になるな、あのオジサン。


なんであんな楽しそうに真昼と凛太朗先輩を見てるんだ。


わたしがかすかに疲労を感じている間に、百合人くんはのんきにお茶をすすっていた。



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