悪魔的に双子。
ガヤガヤと喚いたり笑ったりしながら全校生徒が体育館に集まる。


(ははっ、今ごろ真昼、真っ青な顔してるんじゃないかな)


真昼は人混みが苦手だ。


さざみ商店街しかり、全校生徒の密集地しかり、だ。


心配ではあるが、それ以上に、ここ最近妙に冷たくされてるから、良い気味だとも思う。


わたしもあまり性格が良い方ではないらしい。


「今年のオープニングビデオ、どんなだろね」


「さぁ、新田の趣味が反映されまくってることは確かじゃない。」


指定された席について、隣に座る蓮と話していると、突然パッとすべての照明が消えて、闇が残った。


いつの間にかカーテンもすべて閉められている。


途端にきゅうっと、お腹に痛みが走った。


わたしは暗いところが怖い。


さらに言えば、暗い、狭い、暑い、は最悪のトラウマだ。


あの悪魔双子のせいで。


きゅぅぅと痛むお腹を抑えて、わたしはパニックを起こさないよう、ギュッと目を閉じた。


「れでぃーすえぇぇんどっじぇんとるめぇええん‼」


聞き覚えのある声がマイクで拡張されて耳に届いたと思ったら、生徒席でドッと笑いがおきた。


ゆっくり目を開けると、ステージの上、スポットライトに照らされた実行委員の新田がスーツらしきものに身を包んで立っていた。


遠くからでも分かるくらい、顔がニヤニヤしている。


「待ちに待った日がやってきました!準備お疲れ様です。あとは楽しみましょう。ここに、第43回風道中学文化祭の開始を宣言しますっ」


苦笑まじりの笑い声とともに、拍手がおきた。


おそらく過去最も短い開始宣言だ。


そして、この役目は本来校長先生のもののはずなんだが……


細かいことは気にするな、ということか?


とりあえず、ぐだぐだと文化祭は始まった。

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