悪魔的に双子。

唯流点火

「真昼、女の子の格好かわいかったよ」


「……その言葉で僕を褒めてるつもりなら、青って相当に頭鈍いよね。」


午前の体育館行事が終わり、午後の自由時間がはじまった。


生徒に生徒の保護者にOB、OGといろんな人が狭い敷地を行きかう。


混雑する場所を避けて、なぜかわたしは真昼と二人、寂しく昼飯を食べていた。


バスケットコートは駐車場として使われていて、人はまず来ない。


わたしはこの時間を、蓮とまわるつもりでいた。


わたしは壁画担当でとっくに仕事は終わっているし、劇も午後はまったく仕事がないはずだと思っていたのだ。


ところがあの薄情者は、新聞部の活動があるのだとでかいメガネの奥で目をギラギラさせて去って行った。


大方、文化祭気分で浮かれてヘマをやらかすやつを見つけて、弱みでも掴むつもりなんだろう。


蓮と一緒に回れない、とわかった時点で、わたしはまずクラスの女の子たちを探した。


とりあえず一緒にいさせてもらえないもんだろうかと。


でも比較的仲の良い子たちはわたしの知らない子と回っていて、いまいち話しかけづらい。


わたしはこういうところで、昔からへんに臆病なのだ。


仕方なしに適当に焼きそばと綿菓子を買って、人のいないところはないだろうかとさまよっているうちにバスケットコートに行き着き、そこで人混みを避けていた真昼に遭遇したというわけだ。

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