悪魔的に双子。

新田の憂鬱

昼休み、わたしは蓮に頭を下げていた。


「お願い、有志と田城くんをこっちに連れてきて」


「へっ?なんで……」


「お願いします、それか今日は一人で弁当食います。」


「はぁ、じゃあ、連れてくる。」


いまいち分からん、といった顔をした蓮を送りだして、わたしは机に突っ伏した。


有志と田城くんの三組は真昼のクラスと同じ棟にある。


接する機会が多い分、当然真昼ファンも多い。


今の状況であっちの棟へ行くのは…恐怖だ。


何が怖いってそりゃ女の嫉妬が怖いのだった。


蓮の情報によると、真昼は普段女子からの弁当を受け取ったりしないらしい。


それがさして目立つところのない私から突如突き出された弁当を受け取ったんだから、風当たりの強さたるや半端ではないだろう。


明るくて素直な天使みたいな男の子(学校限定版)の特別になりたい女の子はわんさかいる。


ファンや、公然とファンでなくても憧れを抱いている子たちから見れば、わたしなんていきなり現れた悪役だ。


どぎつい視線を無数にあびながら飯を食えるほど神経図太くない。
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