お嬢様になりました。《番外編》
玄関ホールに着いて、思わず私は足を止めた。


洋風な造りの玄関ホールに立っているカルロの姿は、まるで映画のワンシーンを見ているかの様に美しかった。


顔良し、スタイル良し、品格も良しな人は立ってるだけで絵になるなぁ。



「葵っ」



っ!?


危ない危ない。


完璧見惚れちゃってたよ。



「ごめん、お待たせ!!」



急いで駆け寄ると、カルロに全身じっくり見られ、恥ずかしくなった。


変かな?


鏡で全身チェックしたし、特に変なところはないと思ったんだけどな……。


でも相手はスーパーモデルなわけだし、ファッションだのメイクだのにはきっと煩いよね。


気に入らないところがあるのかもしれない。



「葵」

「は、はいっ!」



着替えてこいって言われるのかな!?


緊張してカルロの次の言葉を待っていると、いきなり身体がフワッと浮いた。



「えっ!? ちょっ……!!」

「可愛いぃー!!」

「はい!?」



カルロの顔を見下ろすと、曇りのない笑みを向けられた。


可愛いのはカルロでしょ!!



「お、降ろして!!」

「もう少しだけ」

「早く行こうよ!!」

「うん」



うんってこのまま!?


結局カルロに抱き上げられたまま車まで向かい、乗せられてしまった。


そんな状況でも荒木さんは表情を変える事なく、いつもの様に見送ってくれた。





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