お嬢様になりました。《番外編》
それにしたってあんな風に歩いてたら勘違いするよ……。



「でも、仲良さそうに肩寄せ合って歩いてたじゃん……」

「大通りに車止めてたら誰かに見られるかもしれねぇと思って、目立たない場所に車止めて歩いたんだよ。 事前にどんな指輪があるか確認しておこうと思って携帯で見てた時に、あいつが覗き込んできて……それをお前に見られたんだと思う」



珍しく申し訳なさそうな顔をする隆輝。


そんな顔されたんじゃ怒るに怒れない。


それに、私の為にしてくれた事だもんね。



「悪かった……これからはお前に不安な思いさせないよう努力する。 俺が好きなのは葵だけだ」

「私もこれからはもっと素直になる。 私も隆輝の事大好きだから……ずっと側にいさせて……」

「当たり前だろ? 何処にもいかせねぇよ」



隆輝に頬についた涙を親指で拭われた。


両手で頬を包み込まれ、隆輝の唇が触れた。


ほろ苦いコーヒーの味……だけどそれ以上に甘い隆輝のキス。


私たちは暫くの間、甘くとろけそうな幸せな時間を楽しんだ。





fin.
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