スイート・プロポーズ
顔が良いのは、変わっていない。
この顔見たさに、わざわざ下級生が昼休みに3年の教室まで来ていたものだ。

「う〜ん……」

顔を観察していたら、薫が寝返りを打つ。床は痛いだろうに、起きもしない。

「……なんで、うちに来たわけ?」

ううん、本当に聞きたいことは別にある。
でも、絶対に口にはしない。
だって、負けたみたいな気分になるじゃない。

「……みこと……」

「……起きたの?」

ツン、と額を小突いてみるが、ただの寝言のようだ。

「…………寝よう」

毛布は着せたし、十分だろう。
これ以上いても、寝る時間が遅くなるだけ。
そう思って立ち上がろうとしたら、薫がまた寝言を口にした。

「……好きだよ……みこと」

「…………」

ただの寝言だ。
それなのに、美琴はまた床に膝をつく。
薫はムカつくくらい、いい顔で寝ている。

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