スイート・プロポーズ
 女が3人寄れば姦しいと言うが、正にそれだ。チラリと美琴を見れば、ストローをかじりながら、またニヤニヤしていた。

「行こ」

 この場に長居してはいけない。円花はニヤニヤする美琴の腕を掴み、その場から離れる。

「その顔、やめなさい」

 離れた場所に来て、ようやく美琴の顔を注意する。今も、美琴の顔には嫌な笑みが浮かんでいた。

「あの子、ホントに告白するのかな? 結果が見えてるだけに、笑いが……」

「性格悪いわね……」

 あの3人が気づかなくて、本当に良かった。気づかれたら、絶対に変な人だと思われていただろう。

「でも、真面目な話、アメリカ行きが正式に決定されたから、部長に告白する子、増えるだろうね」

 飲み切ったのか、紙パックを捨てるためのゴミ箱を探し出す。
 だが、近くにゴミ箱は見当たらない。仕方がないので、総務部まで持って帰ろう。

「円花がいるんだから、部長は断るだろうけど。この際、公表したら? 夏目部長の彼女は私です! って」

「い、嫌よ」

 即答すると、美琴は呆れたようなため息を漏らす。

「自分のものだ、って公表した方が、悪い虫が付かなくて安心するんじゃない?」

「部長はそんな人じゃ……」

「違うわよ。部長が安心するでしょ、って話」

 美琴の言葉に、円花は首を傾げる。意味を理解していないようだ。

「2年も離れてんのよ。公表すれば、牽制になるでしょ」

「つまり、悪い虫が付かないように、って言うのは……私の方、ってこと?」

 美琴が楽しげに頷く。自分の恋愛には消極的なのに、他人の恋愛にはどうしてこうも積極的なのか。

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