スイート・プロポーズ

美琴は引き際よく、円花から手を離す。


(気にしすぎ、かしら?)


美琴の言葉を気にしながら、円花は自分の部署へと戻る。


「あ、部長・・・・・・」


少し歩いた所で、夏目を発見した。

夏目もこちらに気づき、足を止めて円花を待っている。


「さっき新嶋と会った。用があると聞いたが?」

「あ、はい」


円花は無意識だったが、少しばかり早口で、先程の電話内容を伝える。


「わかった。スケジュールは小宮に任せるが、決まったら、一応、報告してくれ」

「わかりました」


部署に戻る夏目の背中を、円花はジッと見つめる。


(杉浦さんって、美人なのよね)


背も高く、パンツスーツが良く似合う女性だったと記憶している。


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