水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 




「おいっ、
 金城警視正みたいに、
 コイツもやれ。

 証拠はすべて隠滅しろ」





そう吐き捨てた途端に、
一斉にかかってくる、
チンピラたち。




誰も通らない人通りの少ない場所。




必死にナイフを蹴り上げ、
拳を打ち込み、奮闘するオレの腹に
めり込むように押し込まれた一撃。






胃の内容物を吐きながら、
殴った奴の肩へと倒れこんだすき、
オレの腕に
流し込まれた注射器の中身。





そいつが流し込まれるたびに、
意識が朦朧としていく。






「手こずらせやがって」







そんな声を聞きながら
落ちていく意識。








目隠しをされ、口元を塞がれて
手足を拘束された状態で、
放り込まれたどこか。






エンジン音が聴覚を刺激する、
振動が体に伝わる、
そこは多分、車の中のトランクか。






チクショー。




朦朧とする意識の中、
必死で、縄を解こうと
拘束されたまま手足を動かす。






ようやくそのエンジン音が止まった後、
光が差し込んだように
感じて冷たい空気が頬に触れた。






「氷雨っ。
 貴様、仲西。

 俺の息子に何をした」




親父が怒鳴る声が、
意識の向こう側で聞こえる気がする。





引っ張られる感覚が、
オレの体に伝わって拘束されていた手足の縄と
口元の拘束具が外される。




目を開いたオレの前に広がるのは、
地上までかなり距離のある建物の屋上。





「金城警視正と君は、
 知らなくていいことを知りすぎたみたいだ。

 困るんだよ……。
 だから消えて貰うよ。

 この場所からすべての罪を背負って」





不敵に笑う仲西の合図で、
オレと親父の体内に、
同時に注入された注射器の中身。




そして……そのまま、
遮るもののない体は、
空へと突き放された……。












……妃彩……


悪い……。
泣かせちまって。























地面に打ち付けられた鈍い衝撃の後、
オレの血が一気に流れ出すのを
何処かで感じてた。










動くことすら出来ない指先を
必死に動かそうとする
オレの指に、
ふれては溶けていく真っ白い雪。


















……妃彩……。


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