水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 



小学5年生の8月2日。


交通事故で両親を失って
その日以来、足が動かなくて車椅子生活。


親を亡くして、車椅子生活になった私は
通いなれた学校に通い続けることも出来ず、
児童養護施設へと預けられた。


月日は流れ義務教育期間を終了した私は
居場所のななかった、あの空間から逃げ出すように
介護施設へとうつった。


新天地を求めて、
移り住んだその場所も、
私には優しくなくて。


何処にも居場所がない私は、
息苦しさから逃れるように
早々に車椅子へと、体を預ける。




そう……今年に入ってから、
ずっと自分に言い聞かせてきた。



夏になったら、あの日が来たら、
この命を終わらそう。



お父さんとお母さんがいる世界へ
私も静かに旅立とうって。





今日がその日であることを
静かに受け止めながら
迎えた、いつもと同じ朝。





「春宮さん、車椅子へ」




指示されるままに、車椅子に移ると
スタッフのお姉さんはだるそうに、
他スタッフの人と会話を楽しませながら
食堂へと案内する。



テーブルの傍、車椅子ごとつけられると、
担当のお姉さんは乱暴に
食事の入ったトレーを置いた。


プラスチックの器に入った食べ物。


両親が居なくなって何年も過ごした中で、
染みついてしまった罪悪感にも似た食事の時間。

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