水晶の少年 【第一幕 完結】※続編「SEASON」 

19.きらめきの時間 -妃彩-



桜ノ宮サナトリウム。

この場所で暮らし始めて一ヶ月が過ぎた。

聖フローシアで過ごす学校生活も、
和花さんと今井さんのおかげで、
何一つ不自由なく過ごせてる。


そして携帯でメールを送れば何時でも、
氷雨と繋がってるって感じることが出来る。


キラキラ輝き続ける時間が、
今はとても幸せでこの時間が長く続いて欲しい。


神様にそう願わずにはいれない。




「おはようございます。
 春宮さま」



朝、起床時間に礼儀正しく声をかけて、
起こしてくれるのは今井さん。


まだ頭が覚醒しきってない中、
もぞもぞと布団の中から顔を出す。


車椅子をベッドサイドに引き寄せて、
手の力で乗り移ると、制服に袖を通す。



そして朝食。




今まで過ごしていた場所と違って、
ここで出される食事は、
美味しいって思えるんだ。


今までの施設と、
この場所の違いは多分食器なんだと思う。



プラスチックの味気ない食器から、
今は陶器の美しい食器に。



出される食事は、お皿と、野菜、お肉が
一つの芸術作品みたいに美しく盛り付けられていて、
それだけで食欲がわいてくる。


今井さんが食べやすいように給仕してくれて、
大好きな紅茶も堪能して。


朝から頑張ろうって、
心から思えるようになった。

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