ファーレス騎士団のゆるい日々
 団長に連れられてやってきたのは、ひょろりとしたいかにもいい家の息子という風貌の持ち主だった。艶やかな黒い髪は耳のあたりでばっさりと切られている。
 
 背はそれほど高くなく、どちらかと言えば華奢な体型は、この場には似つかわしくないように見える。

 騎士団の制服よりはるかに上質な仕立ての衣服に身を包み、どこか緊張したような面持ちでエディは騎士団員たちを見ていた。

 新入りが入ってくればやることは決まっている。

「エディ、着替えて来い」

 オーウェンは顎をしゃくった。

「腕を見せてもらおう。俺たちの監視役に来ているということはわかってるんだ」
「……そんなつもりではないのだが」

 少し困った顔をして、エディはオーウェンを見ている。やけに整った顔立ちであるだけに、思わずどきりとして視線を反らしたものは一人や二人ではなかった。

 騎士団の制服に着替えて戻ってきたエディは、稽古用の剣を手に取った。

「……どうすればいい?」
「俺を負かしてみろ」

 若手の騎士団員の中では一番の腕を持っているオーウェンは、挑戦的にエディへと剣を突きつけた。
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