Amen



『三ヶ月前、俺がこれまで調べられた情報は…』


「お前、未だに一人称俺なんだな。」



呆れながら雅の話しを遮る煉。



『うるせェ、黙って聞いてろ。


その奇怪現象の内容はこうだ。
まず第一の被害者は、一人で夜道を歩いていたらしい。
そして、そいつは突然…










灰になって消えたらしい。』




「ハ?」



煉は鳩が豆鉄砲を食らった顔をした。
雅は変わらず話し続ける。



『服を残して人間だけが灰となって消えた。
それは連続でおき、今では白昼堂々とおきるようになったんだ。』



雅の顔に動揺は、ない。



「……」



煉と雅の目には、ひとつの確信があった。




「アイツ等か…」


『嗚呼…恐らくな。』




雅が言い終わるか終わらないかのところでコトン…、と酒瓶を置いた



「タブーを犯した罪人…










"Curse moons"」




煉がその名を口にした瞬間。

ガタン!―ガタッ!ガタンッ!
ザァァァァァ‥……―――


《!?》



バーに居たマスターと客達が灰となって次々と消え去って行く。


ガチャン‥…――




『――ッ!!煉!伏せろ!!!』



叫ぶ雅の声に答え、俊敏な動きでカウンターの下に隠れる煉の動きは、長年の修行の重みを物語っていた。そして次の瞬間。





―ドドドドドド!!!!―








天上からの、激しい銃声。




「チィッ――何体だ?!」



煉の問に、雅は一瞬眉を潜め瞳を閉じる。そして、早々と答える。



『壱‥四…六、……十六だ!!』





ダンッ!


と、床を蹴り。





カチャ…




と、煉は銃を構え、壊れ果てた天上に向かい…









十六発の弾丸を、銃口から発した。


ドサッ…ドサ‥ドサッ…




ボロ雑巾のように落ちてきたのは、十六の霊だった。







< 4 / 10 >

この作品をシェア

pagetop