年の瀬のヴァンパイア

パニック

「綿子さん? あの、落ち着いて。何もそんな…」

救急車が近づいてくる。

「ドーラとキューラが吸血コウモリじゃないですって!? そんな馬鹿な!! ありえない!! ありえないわ!!」

救急車の音が、大きくなる。

「あ、あの、綿子さん…?」

救急車が…

「吸血コウモリじゃないと駄目なの!!
どうしてもっと早く言ってくれなかったの!?
何よフルーツコウモリって!?
どうして…どうして!?
吸血コウモリじゃないと駄目なのに!!
人を噛んでくれないと駄目なのよオオオ!!」

綿子さんは、救急車のサイレンに負けない声で叫び続けた。
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