大嫌い。でも…ほんとは好き。(旧題:ラブ・ストリーミング) 番外編
 無言でじっと見つめられて条件反射でどきんとする。

 眉目秀麗……スタイルも良くてスーツが様になって、お洒落でかっこいい。

 そんな課長に憧れる女子社員は多く、抱かれたい男といわれる理由だって分かる。そんな彼に見つめられたら腰砕け。

 それに女子社員がキャーキャー騒ぐのは容姿だけじゃない。艶っぽくてセクシーな低い美声。ただそれだけを聞きたがる女子だっている。

 そんな風に心の中で評価がぐんと跳ね上がった瞬間、びりびりびりっと破かれた。

「………」

 今度はこっちの方が絶句。無残に破かれたラッピングが床にひらりひらりと散っていく。 
 プレゼン資料シュレッダー行きの悪夢再び。そのまま勢い余ってチョコレートが飛び出してきた。

「何するんですか」
「これは、おまえが作ったのか」

 課長の大きな掌に有り余るくらいの分厚いハート。真ん中にLOVEの字。
 私は途端に恥ずかしくなって、声を小さくする。

「ちゃんと、小さいところも見て下さい。画数が多くって大変だったんですから」
 私は言って、課長が気付いてくれるのを待った。
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