ガラスの靴をもう一度
「だけど、社長も感心しませんね。完全に公私混同だ」
メガネの奥から、鋭い眼差しを向ける。
言葉では雅貴を非難しているけれど、“お前も同罪だ”とでも言いたそうな顔だわ。
「そんなに荒れてるんですか?」
と聞いた時だった。
ぶ厚い資料を片手に、雅貴が戻ってきたのだった。
「社長、お帰りなさい」
素早く崇史さんは、事務的に雅貴へ挨拶をした。
その雅貴とはいうと、「ああ」とだけ返事をし、私をチラッと見ただけで部屋へ行ってしまった。