ガラスの靴をもう一度
「あら?花井さん、まだいたの?」
私に驚いた麻生さんが、一番に声をかけてきた。
「はい…。お疲れ様です」
何で、二人が一緒に?
またもや嫉妬心が込み上げてきたけれど、それは雅貴の様子のおかしさで消えていった。
どうしたんだろう?
かなり顔が疲れているみたい。
雅貴は私に目を向けたものの、特に声はかけずに麻生さんのデスクへ向かった。
デスクは、課長の向かい側。
一般職の私から見ると、いわゆる上座の位置にある。
「社長、これです」
麻生さんは何やら資料を取り出し、雅貴に手渡した。