ガラスの靴をもう一度


川上くんについて歩いていると、彼の意外な顔の広さに驚く。

本社に異動になってからは、営業にまわっていないのに、それまでの営業まわりで知り合った人や、学生時代の先輩などがいて、挨拶だけで相当な時間がかかってる。

それに引き換え、私は全く知り合いには会わず…。

それこそ、学生時代の同級生がいたっていいのに、これまでの時間を、いかに雅貴とだけで過ごしたかが分かるわ。

「川上くん、顔が広いんだね。なんか、凄い」

「そんな事はないよ。ほら、相沢社長に比べれば」

雅貴の事?

もしかして、デートの時の事を言ってるのかな?

「お金をかければいいってものでもないじゃない」

雅貴と付き合ってる私が言うのも説得力ないけど、川上くんには川上くんの魅力があるよ。

それだけは、雅貴にだって負けないと思う。

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