金曜日の彼女【完】

彷徨う心

クラス会の独特な喧騒から逃れて私と純菜は喫茶店の外に添えられているベンチに座る。

「龍太ってさ、ひどい男でしょ!キスはしない、束縛するな、詮索するな、嫉妬はするな。挙げ句にいきなりいなくなるし…」

「純菜にも…同じこと言ってたんだね」

「そうそう、最低最悪の男よ―――……なのに…ね」

それなのに、拒めない、嫌いになれない――…忘れられない。



不思議だった。

純菜とは本当なら恋のライバルとはいってもいいはずなのに…なぜか、そんな風に思えない。

あの、バイト先での龍太の笑顔を見たとき、あれを他の彼女に向けられるのはイヤだと思った。

――…それに嫉妬していた。

だけど、いざ他の彼女に会ってもそれを感じない。

今は龍太に対する共通の想いがそんな気持ちも押し込めているのか…



「アイツ…今ごろ、どこでなにしてるんだろうね…」

純菜が空を見上げて呟く。

同じように空を見上げる。

「…ここで私達が出会っちゃったなんて思ってもしないだろうね」

「ふふ、そうだね。きっとびっくりするよね」



会いたいよ――…龍太。

今、なにしてる?

いったい、どこにいるの……。


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