金曜日の彼女【完】

新たな予感

「あー…やっぱり…」

「ん?なにが?」

「うん…有紗…今日は来ないって」

「ふっ…そっか」



今、私がいるのは駅前のカラオケ店。

部屋に入ると、みんな適当に座って歌を歌ったり、ただ食べるだけの人もいたり、話に花を咲かせている人もいたり、と様々。


そして、なぜか私の隣には――航平が座っている。

航平は有紗が来ないことなど当たり前、みたいな返事をしている。

航平も私も歌うこともなく、なにかを食べるわけでもなく、ただみんなの様子を眺めているだけ。

だけど、それが今の私には不思議と心地いい。



ここ最近ずっと――いつも龍太のことばっかりが頭の中を支配していた。

なにをしても楽しめないでいた。

でも、航平の隣は不思議と落ち着いた。

ただ、黙って私の隣にいてくれる航平に癒されている気さえしていた。

ずっと張り詰めてた糸が緩むように…。


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