金曜日の彼女【完】
第11章

解けていく心

――――――…

――――…


カチコチと置時計の音が響いている。

とても静かな空間。

いつの間にか

話は終わっていて

いつの間にか

作本さんはいなくなっていた。


ずっと俯いたまま、なにも話さない龍太。

私自身も、なにか一言でも発すれば、今にも涙が溢れ落ちそうになっていた。


初めて聞いた、知った、龍太の両親のいろんな思いや感情――…。


龍太の中に渦巻いていた複雑な感情や傷を知った。

きっと――…いつも愛情に飢えてたんだね…。

寂しかったんだ。

だから必要以上には誰とも深く関わろうとしなかった。


“束縛するな”

“余計な詮索はするな”

そんな言葉で自分が傷つかないように、自分を守っていたんだ。


本当は

誰よりも

愛されたいと願っていたはずなのに――…。


< 174 / 359 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop