金曜日の彼女【完】

残された問題

「――…ねえ、龍太」

「ん?」

すっかり日が落ちた窓の外の景色をぼんやりと見ている。


「学校…なんで辞めちゃったの…」

「ああ――…」

龍太が髪を掻き上げて天井を見つめてから

一度息を吐き出す。

「――…お前を初めてマンションに連れて行った日…覚えてる?」

「え?――…あ、うん。もちろん」

だって…あの日私は初めて龍太とキスをした。

忘れるわけない。

「あのとき…ババアから電話がかかってきて…――お前が帰ったあとすぐ…そいつが来た」

「え…ババアって…」

「SEIKA」


「―――お…母さんだったの?あのときの電話の相手って…」

お母さん――私が発したその言葉に苦々しい表情。


母親の切ない思いを知ったからといってすぐに受け入れることはできないんだ…。


「そう―――…俺の…母親」

龍太にとってその言葉がどんなに重いのなのか――。


「突然やって来て、別のマンションに移れって…いきなり」

「え?どうして?」

龍太が深い溜め息を吐く。

「俺のこと、マスコミにバレそうになってるからあのマンションはまずいって…で、次の移転先が学校からは遠すぎてさ…
――――…正直、スゲー迷ったよ」

「…迷ったの?」

その理由に…私のこと…あるのかな…。



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