金曜日の彼女【完】
「――…ごめんな?黙って…勝手に決めて…。だけど琴葉に言ったらどうしても決心が鈍りそうで…」

わかってた。

龍太だって辛いんだって。

「俺…いっつもお前を泣かせてばっかりだな…。ホントはいつだって笑っていてほしかったのに―――…」


行ってしまうんだね。


「龍太」

「ん?」

「……――て」

「―――え」

「私を…抱い…て」

私は…あなたのものだというしるしをちょうだい。

幼い頃と同じような、約束のしるし―――。


「琴葉…」

「……お願い」


腕を龍太の首に巻きつける。


「龍太の―――…」


お願い―――…


龍太の

あなたの

しるしを

私に

ください。


―――――――…


―――――…



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