金曜日の彼女【完】
「…あ!…唐揚げー…食べたかったのに…」

口を尖らす私に

「――じゃあ、半分返す。ん、ほっああ?(取ったら?)」

そう言って唐揚げを半分くわえた状態で向く。

それを手で取ろうとしたら、その手を払いのけられた。

「――へ?」

なんだ…結局返してくれないんじゃないの!!

すると…彼の指が私の唇をそっとなぞった。

―――え!?な、なに?

トクンと反応する心臓。


彼はそれが合図かのように唐揚げをくわえた唇を差し出す。

…まさか…口で…取れって?

私の顔を見てニヤニヤしている彼。

そして急かすように唐揚げをくわえた口を指差す。



…これって…キ、キス…できそうな距離!?

私は彼に近づいた。

あと数ミリ―――…




ガラッ―――

「悪ぃ、遅れた!」

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