金曜日の彼女【完】

デート

寒さが少しずつ和らぎはじめ、春の足音が近づいてきた。

そんなこの頃―――…


龍太の姓は竹内から作本に変わった。


特別養子縁組を外すことを最後まで渋って、抵抗していた龍太のお祖父さんでもある竹内 惣一郎を


説得したのはSEIKAだった。


そんなSEIKAに、なかなか素直に向き合えない様子だった龍太。

それでも今度のことで、ほんの少しでも2人の心が近づけば…。

心からそう願う。


そして、出発の日は刻一刻と近づいてきていた。


出発日は4月11日に決まった。

奇しくもその日は金曜日。

どうやら私と龍太は金曜日に深い縁があるらしい―――…。


龍太は半年間、向こうの語学学校に通い、秋の入学に合わせてハイスクールに入る予定になっている。


N.Yでは作本さんとの2人暮らしになる。

「1人の方が気楽だ」なんてブツブツ言っていたけれど…

それでも実のお父さんと暮らせることは嬉しいに違いない。


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