金曜日の彼女【完】

出発

出発まであと1週間―――…。


龍太は日本での最後の1週間を、えり子さんの家で過ごすことに決めた。


私も日中はずっと入り浸っている。


少しでも長く龍太と一緒にいたいから――…。



4月11日―――…

成田空港発、N.Y行き

出国時間は午前11時



3年生に進級する私は

普通に授業がある日だ。


沖本君は学校を休んで見送るらしい。



だけど

私は空港には行かない。

私はここで…えり子さんの家で見送る。


空港に行けば決心が鈍るから

私も着いて行きたくなるから

ここでさよならして

この街で龍太を待つ。


そう決めていた。


――――――――…


「ねえ、梅干しとかは?持っていかないの?」

「ああ?そんなもの向こうでも買えるだろう」

大きなキャリーバッグに洋服を詰め込みながら。

どうでもいい、くだらないことを聞く私に苛ついた声を向ける。


出発の日が近づくにつれ

龍太はイライラしていることが多くなってきていた。


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