金曜日の彼女【完】

―慎の想い―

今―――


私は誰の腕の中にいるの?


そっと顔を動かしてみる。


「―――…どうして」

どうして?

知りたいのは、私。

どうして彼に抱きしめられてるの?


「どうして…そんな風に泣いたり…つらい顔をするの――…諦めたかったのに…」

そう言うとさらにきつく抱きしめられる。

「諦めるために…秘密だった龍太のバイトのこと教えたのに…」

諦める?なにを?

軽いパニックを起こしている私に彼はさらに続ける。

「初めて会ったときから――」

―――…え?

「――好きだったんだ」

「―――!!――…っ…ぃ…や!!」

突然の告白。


突然の―――キス。



―――気がついたら公園を出て走っていた。


ただひたすら――…


龍太―――

会いたいよ――…

私は…やっぱり――

龍太が――…龍太だけが好きだよ。


見つけてよ。



私を―――!



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