初恋
・・・だから裕大はあの時、
渡邊に嫌な感じだったのか。
本当は沙奈ちゃんが作ったのに、
渡邊が自分で作ったって嘘ついたからムカついたんだ。
でなきゃ、理由なしに裕大が怒るわけねぇもんな。
「あ、悼矢さんもお代わりですか?」
キッチンの入口にいた俺に気付いた沙奈ちゃんが話しかけて来た。
まぁ、場の雰囲気を変にしたくなくて、
裕大は渡邊に本当の事を言わなかったんだから、
俺も言わないように気をつけりゃいいか。
「そう、俺もお代わりしに」
「ほら!悼矢も飯が上手くてお代わりしに来た!!」
「はいはい・・・」
沙奈ちゃんの言葉は素っ気なかったけど、
凄く嬉しそうにしていた。
その顔が、やけに俺の脳裏に焼き付いて離れなくて。
「まじ、沙奈ちゃんの作った飯上手いよ」
もっと色んな表情が見たくて、
つい自分もそう言ってしまう。
沙奈ちゃんは顔を赤くしながら嬉しそうに笑う。
俺はそんな沙奈ちゃんを見て、
今にもニヤけてしまいそうになる自分に驚いた。