君の為に出来る事


その日もたまたま早く帰って来た晩。



また、この前みたく俺の帰宅を見計らったように、彼女はどこかへ出掛けるみたいだった。



玄関のドアを開け、鉢合わせした俺達はなんだか少し気まずいムードが流れた。



「お、おかえり」


「…ああ、ただいま」



会話なんて本当に乏しいふたり。



玄関に立ち尽くした彼女。俺はそんな彼女の横をすり抜けいつもの場所へ向かう。



「…出掛けんの?」


「うん…、まぁ…」



彼女の横をすり抜ける時、これだけは聞きたいと思い声を掛けた。



だって、彼女は俺の顔を見て、また慌てているから。



いくら鈍い男でも、もう感付くさ。



それに、こんな時間に出ていくなんて、やっぱりおとこしかいない。



「…今日は帰ってくるの?」


「…えっ」


< 14 / 29 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop