君の為に出来る事
その日もたまたま早く帰って来た晩。
また、この前みたく俺の帰宅を見計らったように、彼女はどこかへ出掛けるみたいだった。
玄関のドアを開け、鉢合わせした俺達はなんだか少し気まずいムードが流れた。
「お、おかえり」
「…ああ、ただいま」
会話なんて本当に乏しいふたり。
玄関に立ち尽くした彼女。俺はそんな彼女の横をすり抜けいつもの場所へ向かう。
「…出掛けんの?」
「うん…、まぁ…」
彼女の横をすり抜ける時、これだけは聞きたいと思い声を掛けた。
だって、彼女は俺の顔を見て、また慌てているから。
いくら鈍い男でも、もう感付くさ。
それに、こんな時間に出ていくなんて、やっぱりおとこしかいない。
「…今日は帰ってくるの?」
「…えっ」