愛よりも深すぎて
『言うか?』
突然俺はいった。

10年前の自分と今の木崎が重なる。
木崎は伏し目がちだったがその俺の声に目だけ俺の方を向いた。
それを見ると俺は木崎の答えを聞かずに話し始めた。

『大学の時。付き合ってた女性と同棲してたことがあるんです。』
何を話してるの?という表情だったが俺は間髪入れず話した。
『その女性を』
大きく息を吸って俺は続けた。

『妊娠させてしまったのです』

その言葉に木崎は顔を上げた。
目を大きく見開き俺をじっと見つめた。


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