とっておきの恋
それでメガネしてないんだ。

「俺0.1ないからシャトル見えないんだよ」

「直しにいかなきゃ」

「うん、帰りに駅前の眼鏡屋に寄るつもり」

安部くんほどではないが、河辺くんもやっぱりかっこよくて、あたしは不公平だなって思う。

天は二物も三物も与えるんだな。

頭もいいし、顔もいい、背だって高いし、運動だってできる。

あたしにはなんにもないや。



昇降口で靴を履き替え、河辺くんと並んで歩く。

「このまえの校外学習、おんなじ班だったのにあまり話さなかったね」

そうだった。

あたしはずっと安部くんと一緒にいたから、河辺くんとは全然話していない。
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