とっておきの恋
「じゃ、さ、カオリンは? カオリンはキスしたことあるの?」

キスなんて言葉言うのも抵抗があったけど、唇の端っこに力を入れてがんばって言った。

「自分からキスしたことはないけど、されたことならあるよ」




きゃああぁぁぁぁぁーーー!!!



カオリンたら、予想はしてたけどやっぱり経験あるんだ。

っていうか、もうちょっと恥らえっちゅうの!

まるで他人事みたいな言い方だぞ。



「あのね、カオリン。お父さんにされたとかそんなのだめだからね」

「当たり前でしょ。中学の時、同じクラスの男子にキスされた」




中学の時の同じクラスの男子って…。



――まさか、安部くんじゃないよね。





さすがに聞けなかった。



そして、また、胸の中にもやもやが広がった。
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